品川 博プロフィール:
昭和29年(1954年)9月26日生まれ島根県出身。
父は地元で山師を生業とした4人兄弟の末っ子。
中学を卒業と同時に先に左官業に就いていた兄を追い、
兵庫県加古川市で左官修行を開始する。
高度成長期を軸に多くの公共建築に携わる。
オイルショックで一時的に現場が低迷した頃、それまでに
興味があった[擬木]の製作に取り組む。元来の凝り性から
遊びで始めた[擬木]製作であったが、次第に造形製作へと
進化し、新たな品川ワールドとして開花して行く。
本業の左官でも、建築全般を見据えた工法を積極的に
取り入れ、業界からも注目を集め始める。
1999年、加古郡播磨町[円満寺・仁王造]の製作に携わり
その作品が高く評価され平成7年「技能顕功章」を受賞。
他にも「漆喰押さエ鏝」や「ドライウォッシュ工法」の開発等、業界に貢献。 左官仲間は全国に広まり、
その活動範囲も広い。 平成12年独立、品川左官として現在に至る。

平成4年、品川氏37歳の頃
趣味で作り始めた
セメント造形作品が50点を
数えたのを期に開催された
個展では約640人が訪れた。
来訪者には同業者も多く、
その緻密な完成度に魅了
された者も多く、その後展示
作品は無償で施設や団体に
寄贈された。
    (資料:産経新聞)
五重塔の梁を支える化粧柱に
施した「龍」の彫刻。 
平成5年の作品。円満寺より。
平成18年に開催されたNPO法人加賀左官伝統技術保存会主催の左官仕上げ、
左官アートの展示会「第2回左官アートコンペティション」で技術保存特別賞を受賞。
「ひかりとあそぶ山水仕上げ」(作品左)※床の間の壁をイメージ。薄暗い時には
見えないものが、上や横からの光りによって浮き上がってくる。
なでる・ひきずる・叩く等の鏝使いで表現した作品。
「なつかしい壁」(作品右)※故郷を離れて暮らす人達が、一息入れる喫茶店や
郷土料理店にあったらと願い製作した作品。 良く見ると作品上にセメントで造形
された蟻が数匹歩いている(?) 気付くと同時にハッとする作品。

★見本板も数多く製作すると言う品川氏の持論は大きく分けて二つの考えが
秘められている。 一つは左の作品に見られる「見る者に想像力を持たせる」
それでいて手間を掛けず手頃であること。 次に右の作品で見られる手間を
掛ける以上は「見るものがハッとする」作品作りであること。ただし如何なる場合も
左官は壁を綺麗に塗れて当たり前、その先の一線を越えた所を目指すのが
重要と語っている。見本の段階で既に「空間の世界観」を描くことで、より
左官技術の素晴らしさが施主や設計士に与える影響は少なくない。

まさに品川氏ならではの真骨頂がこれら「セメント造形」の作品群。 初期の頃は大型作品も多く
手掛けていたが保管に場所を取るため今は主に小型作品が中心になっている。
特徴はセメントと樹脂+色粉で製作。 蟻の脚は針金を使用。 色も塗装ではなく、セメントを配合し
仕上ている。 道具は兄による自作品を使用している。セメントを知り尽くしている彼だからこそ
成せる技で、そこにはビルの補修工事で培った経験も生かされている。
尚、これら技法には品川氏独自の材料配合を使用されているため、既成調合材料では無理。
彼の作る材料からはプラスチックのようにカッターで薄く切り取ることも可能となる。
調合方法は企業秘密とされている。
上記2点も品川氏の作品。
これらは1998年に刊行された「左官建築探訪」にも
彼の作品が数多く掲載されている。

    日本左官連合会資料より

品川氏は指導者としても多くの活躍を見せている。 その品川氏の心情には常に左官の
技術向上と伝統文化保存の熱意が注ぎ込まれている。
ただし、ただ古いものだけが良きとはせず、現代技術を活かした、より良い工法が
これからの左官にとって重要な視点と考えている。

そして、新たな出会い。ドライウォッシュ工法。
品川氏の昨今は自ら考案したドライウォッシュに夢中である。
これは左官の技術を生かしながら身近な材料や素材を用い、
費用も環境にも優しい工法と言える。
彼を知る設計士からは多くの見積りが寄せられ、完成図面の
一部にはすでに「ドライウォッシュ工法」の文字が書き込まれて
いるものもあると言う。

※なお業界雑誌「建材フォーラム」2009年11月号でも
「ドライウォッシュ工法」の特別記事が掲載されております。

 
 

品川博氏によるドライウォッシュ工法の講習会が
2019年4月14日(日)に京都市の左官技能専修学院にて
開催しました。

 < 講習施工工程 >

下地は事前にパネルにモルタルを塗り乾燥させていす。
 
 @ ホワイトセメントと寒水石(1.5mm)を1:1の割合で水を
   加えながら攪拌します。

 (色を付けたい方はここで色粉を入れます)
 
 A 材料が出来たら早速塗り作業に移ります。
   塗る前に施工面に水打ちをしておきます。

今回使用した材料はこちら
色粉を使った場合は
この様な色調になり
       ました
 B 塗り厚は砂のサイズに対し最低3倍程の厚み
  塗っていきました。
 今回の場合は少し厚めの約6mm塗りこんで行きました。


 (塗り厚が厚るぎると水がなかなか引かず、ノロ取りが
 大変になり、薄すぎると寒水の伏せ込みが甘くなり
  ワイヤーで削りすぎる場合があります。)

 C さわってみて材料が手に付かなくなった頃合いを見て
   ワイヤーをかけていきます。

 
 D 表面に寒水石の頭が出てくるまでムラなく全体的
   にブラシ掛けをしていきます。

ペーパーで水引きの調整をしています。
 部分的な色の変化はペーパーで養生し、黒寒水をまぶして鏝で伏せ込んでいきます。
今回実験として色粉として職人魂商品左官墨 墨の素
 を使って色を付けていきました。

 配合は....
  黒寒水石(3mm) 750gに対して
  ホワイトセメント  500g (1.5:1)
  左官墨 墨の素  100g



 ホワイトセメントを使用した為、黒く染まるか少し心配でしたが右図のようにかなり
 黒く染まりました。

 今回300角のパネルでしたが、施工範囲が広い現場などは
 大容量「左官墨1Kg」の使用がオススメです!


 ※実験の為、上記の配合でしましたが材料の様子を見て
  配合量を変えての施工を推奨します。

 
       ↑今回使用品 ↑墨の素を使用したドライウォッシュ

 (右図) 
 パキンブラシを使用した際、
 水が引く少し前のタイミングでブラッシング
 をした為、パキンに水が含まれてしまっています。

 こうなった場合は水で洗うのでは無く、良く乾かして
 材料のノロをはらってください。
 
 使用後水で洗う場合は水分をよく取り、
 乾燥させてください。




商品名:ハイパーマジック鏝【職人魂オリジナル】
材質:ステンレス
板圧:0.2mm/0.3mm
サイズ:210mm/240mm
製品特徴:薄塗材料の施工に特化した波消し鏝です。
ステンレスなのでジョリパットや珪藻土材へのサビ
移りを防いでくれます。更に3層貼りで耐久性を保ち、
首下を抑えることで、手首に力が掛かり過ぎないので、
軽い人差し指の押えで自然なナミケシが可能です。

先丸形状でコテ波も付き難い。
カドの施工は反してコテ尻のカド面で施工が可能。

柄は角柄をチョイスしました。
これによって左右の動きが自然行えます。

★ステンハイパーマジック鏝0.2ミリ×210ミリ  3,575円(税込)
★ステンハイパーマジック鏝0.2ミリ×240ミリ  3,762円(税込)
★ステンハイパーマジック鏝0.3ミリ×210ミリ  3,575円(税込)
★ステンハイパーマジック鏝0.3ミリ×240ミリ  3,762円(税込)

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